『質問に答えてくれたら、離れてあげるわ。えっと、ね? わたし、どうして居間にいち
ゃいけないの? 今、来てるひと、わたしが死んだ事件と――、ううん、わたしを殺した
犯人かもしれないんでしょ? だったら、』
「〃だったら〃、……余計、カンタンには会わせられないの」
『どうして?』
「まだ、なにか関係がある『かもしれない』ってだけなんだから。そんな状況で、うかつ
にあんたに変な行動とられたら、明らかになるものもならないの。アルテさんに任せとけ
ば問題ないよ。ここで待ってよ」
 努めて、理路整然とフィアは話す。
 ロザリーの姿は確かにサーリアのものだが、目線の動かしかたや指先の仕草、ちょっと
した表情などの違いで、まるで別人のようにも見えていた。もとよりサーリアは、顔立ち
やスタイルが平均レベルをはるかに上回った美少女だ。
 ふだんはボケボケーっとしているからわからないが、こうしてロザリーが宿り、少女ら
しい雰囲気をまとわれると、同性のフィアでさえ、ハッとするほどの色香が醸しだされて
いる。
『えー、そんなの嫌だわ。わたしも、ちゃんと確認したいの』
「ダメ! あたしは、あなたが先走った行動をとらないよう見張る役なんだから。大人し
くしてなさい」
『ふふーん、そんな偉そうにしてもダメなんだから』
 ロザリーは、フィアの緊張を読みとったか、勝ち誇った様子でにじりよる。
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