その可能性がとても低いことは、自分が一番よく知っていた。ただ、もやもやとした想
いを胸の奥に沈ませて、朝の訪れを待つしかない。
寝室を満たす暗がりは、鏡みたいに、サーリアを自分の内面と向きあわせる。
だからといって、明かりをつけるわけにもいかない。
(フィアちゃんは、呑気でいいですぅ……)
ため息まじりに、ぽつりと呟く。体をベッドの外側に向けているサーリアの背中越しに、
鉄壁の安らかさを主張する寝息が聞こえる。同居生活をしている少女、フィアのものだ。
彼女の体から伝わってくる体温が、サーリアを安心させてくれると同時に切なくもする。
ひとりぽっちよりも、淋しい。……こんなのは。
けれど、とそんな感傷を打ち消すように、自分にいい聞かせる。
――気づかれるよりはましだ。
そう、ずっとずっと、彼女のそばに居続けたいのならば。友達として。
……こんなのは、すっかり慣れている思考のはずなのに、柔らかな枕に頭をのせたまま、
サーリアは目の端に薄く涙がにじむのを自覚する。自分の弱々しさに吐きけがする。続け
て、ぐしゅっと鼻をすすった。その音が、意外と大きく寝室に響いて、サーリアの鼓動が
ひとつ跳ねた。
体を固くして、身動きせずに後ろのフィアの様子をうかがう。寝息に変化はない。
それでも、しばらくそのままの体勢を保って、もう大丈夫だろうとゆっくり体の向きを
変えた。もぞもぞと天井を見あげ、それから音を立てないように首を動かして、フィアの
寝顔を眺めようと、
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