「……仲良く、五等分、してみる……?」
 フィアが、ごく真っ当な意見をだしたが、それは大多数の意見により却下された。常日
頃より、食欲が満たされることの少ない探偵たちは、みな『伝説のパン』をひとり占めす
ることしか、考えていない。
 誰もが、自らの食べる権利を主張し、一歩も退かなかった。
 その結果。

「ひとまず、このパンはキッチンの戸棚にしまっておきましょう。今は、みなさん興奮し
ているようですし、夕食のころには落ちついているでしょうから、そのときに改めて公平
に誰のモノとするか決めるというコトで」
 アルテの提案に異論を唱えるものはひとりもいなかった。

 だがしかしそれは、決して彼女のセリフに賛同したからではなく――。
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