(有名テクニック『ベテランと若手』だっ!?)
アルテはラスティに歩み、ぽん、と肩に手を置いた。
「ごめんなさいね、ラスティ。所長、すこし気がたっているようですわ」
「あ、いえ……」
アルテの優しい声に、ラスティは涙目で首をふる。
「ですけれど、ね? ラスティ……」
「あう?」
「所長の気持ちもわかってあげてほしいんです。すべてあなたを思ってのことですから」
「はい……」
ラスティは、しっかりとうなずく。しかし、なにがどう、ラスティのことを思ってなの
かは、一切が不明である。そんなわけで、『伝説のパン』が誰の口にも入らず、回収され
るという最悪の事態は回避できた。
だが、問題はまだ残っている。
袋の大きさから考えれば、中に入っているパンは、赤子の拳サイズの小さなもの。
はたして、これをどのように扱うか。
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