バレないように、こっそり〃くわっ〃と開眼したステファは、肚を括った。
「…………ッ、んっ」
 目の前にいるラビィ☆に怪しまれないように、小さく咳払いをして喉の調子を整える。

 ――いける!

(天使ステファ・七つの隠し技、その4! ……〃腹話術〃!)

 ちなみに、1〜3および5〜7は欠番である。つまり、ステファは隠し技などひとつし
か持っていない。なら、なぜ〃七つの〃などというのかは、縁起がよさそうだからであり、
なぜ唯一の技が〃四番目〃なのかというと、なんとなく強そうだからだ。
 さておき。……ぐっ、とステファは下腹に力をこめ、サーリアの声に耳を澄ませた。
「フィアちゃん、フィアちゃん! 目をあけてくださいですぅ!」
 サーリアが、おそらくラビィ☆の必殺技をくらって倒れたのだろうフィアの上半身を抱
えて、ゆさぶっている。ステファはタイミングを計る。そして――、ここだ! と仕掛け
た。フィアに呼びかけるサーリアの声に、たしかにサーリアに似てはいるものの、微妙に
テンポのズレた声が重なった。
「ほら、目をあけてくださいです、フィアちゃん!」「あ ん な、絶 壁 み た い
な 胸 の ラ ビィ ☆ に 負 け ちゃ ダ メ で すぅ !(byステファの
腹話術)」「……ふぇ?」
4
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