「な、な、な、なななな……」

 ステファは、言葉をなくし、これっぽっちもまともに喋れない。
 変身したラスティ――、ラビィ☆は目に涙を浮かべ、バトンをふりきった姿勢のままぽ
ろぽろと滴をこぼしている。口もとが、かすかに動いていた。なんといってるかは、聞き
とれない。
「ふぇえええん、フィアちゃん、しっかりしてくださいですぅ!」
 フィアに駈けよったサーリアが、わんわん泣きながら、すがりついている。
 ステファも、瓦礫をよけながらラビィ☆へと、おそるおそる近づいていく。
 少しずつ、彼女がなにをいっているか、聞こえてくる。

「…………ても、いいじゃないですかっ」

 ? と、ステファは首をかしげた。
 ラビィ☆は、涙に濡れる目線をまっすぐ前に向けながら、なにも視界に入っていないよ
うだ。ステファは、やや大胆に、ラビィ☆へと近づく。彼女は、まるで熱に浮かされた病
人が、うわ言を漏らすように同じ言葉を延々くり返していた。
 ステファは、耳を澄ます。


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