扉の向こうは、見果てぬ荒野だった。
「「ええーっっ!?」」
思わず、声をあげるステファとサーリア。……いや、正直いって、荒野はさすがに嘘で
ある。しかし、それぐらい、インパクトのある光景ではあった。とにかく、キッチンと食
堂を巻きこんで、大爆発があったのは、たしかなはずだ。
屋敷の中の、もと、キッチンと食堂があった部分が、すっぽりと消失していた。
辛うじて、なんとか二階を支えているいくつかの柱だけが、やせ衰えた骨のように、残
っている。それ以外は、なにもかもを爆風にかっさらわれ、剥きだしの地面の上に、瓦礫
が散在しているだけだった。
食堂から、キッチンのそのまた向こうの裏庭まで一望できる、よい見晴らしだった。
いや、そんなことをいってる場合ではない。
瓦礫の中に、埋もれるようにして倒れ伏している人影を見つけたのは、サーリアだ。
「ふぃ、フィアちゃん――――っ!?」
そしてステファは、位置的にいえば丁度キッチンのまん中辺りに立ちつくしている、ひ
とりの少女に気づいた。少女は、いつもの姿ではなかった。町中を歩けば、まず間違いな
く浮きまくるだろう、ピンクと白を基調にゴテゴテふりふりした衣装に身を包まれていた。
そして、手には先端にハート型の飾りが付いたバトンを手にしている。
まさに今、必殺技を放ち終わったあとのポーズで、エンジェルラビィ☆は固まっていた。
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