「愛しているなら、どうしてロザリーちゃんを信じられなかったですぅ?」
『ひとの心は弱いものです。ときとしてそれは、一見、強そうなものほど驚くほどのもろ
さを備えています。けれど、それを責めることは誰にもできません。ハミルは、ロザリー
を手にかけたことを一生悔やみ続けたのですから』
「でも……、なんだかずるいですぅ。ロザリーちゃん、殺され損です」
 納得のいかない様子のサーリアに、天使は穏やかな微笑みを浮かべた。
『さあ、サーリア、みなに伝えなさい。屋敷のどこかに眠るロザリーの遺体を探すように、
と。――――そうすれば、すべて解決するかもしれません』
 かも、といいながら、確信をこめて告げた天使の体から、清浄なる光が生まれ、周囲を
白く染めあげていく。やがて、その光は、サーリアをも包みこんだ。サーリアは、ずっと
気になっていたことを口にした。
「……最後にひとついいですぅ?」
『なんですか?』
「あなた、ステファ所長なんですか……?」
『フフ、どうでしょう?』
 天使は、謎めいた微笑とともに、サーリアを送りだした。現実世界へと。
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