その様子にケーニスが、なにかいいたそうにアルテを見るが、盲目の麗人は、「お気遣
いなく」と静かで丁寧な声色の中に有無をいわせぬ迫力を宿して、ケーニスにうなずいて
みせた。彼は、おっかなびっくりといった口調で、切りだす。
「あの…………、それ、で……、ですね……」
「ええ」
「……で、〃伝話(でんわ)〃をいただいた、と……、いうことは……、祖父の遺産探し
の依頼………………受けて……、もらえると――ごふぁっっ!?(吐血)」
「ええ、その方向で考えさせていただくつもりですわ。まずは、詳しくお話を」
ケーニスの異変をさらりと受け流して、本題に入った。
この青年は、間違いなく『ロザリーが殺害された事件』と関係がある。
ならば、引きだし得るすべての情報を引きださねばならないだろう。
「は、はあ……、ですが……、わたし、も……、たいした、手がかりは…………」
「どんな些細なものでもかまいません。なにが決め手になるか、わかりませんからね」
申しわけなさそうなケーニスに、アルテは優しく微笑みかける。
静かに、刃のように言葉を続けた。
「さあ、話してください。もしかすると――、意外なほど近くにあるのかも、ですわ」
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