――鈍(のろ)いね、あくびが出そうだよ。
たんっ、と軽やかに廊下の床をけり、フィアはきっちりサーリアと同じ数の残像を宙に
生みだし、すべての猫の分身の前に立ちはだかった。仰天し、これ以上ないほど目を丸く
したサーリアに、フィアは不敵に片目をつぶる。
「残念だったね。今のあたしは、光だって捕まえることができる!」
『よ、よくわからないけど、とにかくすごい自信ですぅ!?』
……まずい、と第六感が囁いている。
これだけの分身を生みながら、フィアにはまだ余力がある。
そのことを確信して、サーリアは背筋が凍えるのを感じた。――だが、退くわけにはい
かない!
(……ま、まだまだですぅッッッ)
こうして。
親友と呼ばれるふたりの、戦いは、はげしさを増していくのだった。
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