サーリアは、なにか違和感を感じで、動きを止めた。
 喋ってもいない自分の言葉が、自分の耳に入ってきたのだから、当然だろう。
「なんですぅ……? 今の」
 きょときょとと周囲を見回すが、なにが起きつつあるのか、わからない。

 いや。

 ラビィ☆が、瓦礫を踏みこえサーリアへと足を運んでいた。
〃ラブリーホーリーバトン〃を胸に抱くようにして、とてとてとした少女らしい歩きかた
をしているのだが、なぜかそこには異様な迫力が宿っていた。サーリアは、ラビィ☆の姿
に息を飲んだ。
「……さーりあさん、いま、なんていいました?」
「え ええっ? さ、ささ、サーリア……、ですか?」
「ううん、いわなくてもいいです。わかってますから」
「なななな、なにをですぅ……っっ」
 サーリアは、ひきっ、と凍りついた。ラビィ☆はゆっくりとバトンをふりあげていく。
 そして、ステファは罪悪感などこれっぽっちもなく「Yes!」とガッツポーズをとっ
ていた。もはや、邪魔するものは誰もいない。最後に勝つのは、やはり天使なのだ。ふは
ははは、と声にだして笑いたいのを我慢して、ステファは『伝説のパン』が入っているだ
ろう、紙袋へと近づく。
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