ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん!!

 ステファ必死の否定の首ふりは、秒速20回はゆうに越えただろう。その速度に、頸椎
のほうがついていけず、ステファのたおやかな項から、ぐきぃっ、と嫌な音がした。かな
り、やばめな音だった。
 ステファは、右へと大きくふったまま、ぴくりとも首を動かせなくなる。

「あのね、ふぃあさんが、すごくすごく、わたしのむねのことをばかにするんです。そん
なにちっちゃいんじゃ、まだおとこのむねのほうがさわりごこちいいんじゃないか、とか。
わたしがふぃあさんのことおかまっていったのは、ただのふぃあさんのききちがいなのに。
ひどいとおもうんです。わたしだってすきでちっちゃいわけじゃないし、ちっちゃいのが
すきなへんたいさんだっていっぱいいるっておかあさん、はげましてくれたし。それに…
………」

 ラビィ☆のめそめそした喋りを意識のはしで聞きながら、ステファは、右へと固定され
た視界の中に、とんでもないものを見つけた。崩れた壁の瓦礫の影に転がっている、小さ
な紙袋だ。見覚えがある。ありまくる。とゆーか、まさにそれは目的の品だ。
『伝説のパン』が入った紙袋。
 ステファの位置から袋に書かれている字は『〜のパン』という部分しか、見えないが。

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